青野ゆらぎ

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創作における6つのR

2025-10-07

むかしブルーノ・ムナーリ[1]の「ファンタジア[2]」を読んだ。
大まかにいうと、この本にはクリエイティビティを発揮するためのヒントが書いてある。ファンタジアは、発明や創造と似た概念で、「これまでになかった新しいことを考えださせる人間の能力[3]」のことだ。

ムナーリは34ページで、ファンタジアの手法を以下の6つに分類[4]している。

  1. ある状況を反対にする。(あべこべの世界)
  2. あることがらを反復して、一から多にする。同質のものかヴァリエーションで行う。
  3. 視覚的または機能的に類似するものどうしの関係。(テーブルの脚=動物の脚)
  4. 交換または代用の関係。(たとえば色彩、重量、素材、場所、機能、大きさ、動き)
  5. いくつかの異なるものを関係付けながら、ある一つのものを作る。(たとえばモンスターの造形など)
  6. 関係の中の関係。(1~5の組み合わせ)

本書中にでてくる例でいうと、マグリットの「ピレネーの城」は4. を利用して岩の重量を交換している。また三面六臂の阿修羅像は2. のわかりやすい例だ。
この分類は総当たり的にアイデアを出していくうえで使いやすく、いまでもまだ覚えている。

これらのファンタジアの手法を標語的に整理したくなり、「6つのR」というのを思いついた。

  1. 複製 Replication
  2. 逆転 Reversal
  3. 類似 Resemblance
  4. 置換 Replacement
  5. 関係 Relations
  6. 関係の中の関係 Relations within relations
英語として不自然なところもあるが、覚えやすくなった気がする。

脚注

  1. イタリアの芸術家、デザイナー。このように端的に言いあらわしてよいのかわからないぐらい、多岐にわたる活躍をしている。
  2. ブルーノ・ムナーリ著 萱野有美訳「ファンタジア」(2006)、みすず書房。
  3. 同書p33より。
  4. 以下のリストは、p34の内容を筆者が要約したものであり、完全な引用ではない。